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新しい哲学を求めて


管理人:宮内義富、札幌在住。主に本や雑誌、ジャーナリズムを通して、人間社会のあるべき姿を考えていきたいと思います。
by saiseidoh

野付半島

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 こうして記録を残したり、書いていくことにすっかり消極的になってしまった。気力がなくなった、とか、衰えた、とかそのようなことではなく、X(旧Twitter)の世界席巻、そしてその反動とも言えるイーロン・マスク氏への忌避感・危機意識(最近少しずつ世界の有力メディアなどが叛旗を翻しているようだ)、それ以外にもネット社会と現実社会の混在?…等々、「書く」「残す」という媒体や行為が軽々しく扱われ過ぎている、というような社会状況に嫌気が差しているのかもしれない。

 そんな中でも今年感心したのは釧路湿原・野付半島の旅である。10月中旬天候にも恵まれ妻と二人、3泊4日で初めて道東奥深くまで車を駆った。釧路湿原は夏の最盛期を外れ、魅力を満喫できず。夏に訪れ、湿原の畔を楽しめば素晴らしいかもしれない。

 今回何より驚いたのは、全長26kに及ぶ日本最大の砂嘴、野付半島。もちろん、同半島の存在や奇妙な形をした鳥の嘴が長く長く伸びたような半島の形、そこに棲む多彩な動植物…などは知っているつもりだったが、実際に行ってみると、想像を絶する景色と多彩な動植物、魚介、草花…久しく経験したことのないような異体験だったように感じる。北海道民であってもなかなかにここまでは訪れようという人は多くないように思う。それだけにその素晴らしさにスポットライトが当たることは少ない。

 しかし、半島や半島の中間地点にあるネイチャーセンターには海外の人たちが殊の外目立ってもいた。北海道民や日本の人たちがまだあまり気づかない、その素晴らしさ・良さをSNS等で知った海外でいち早く評判なのかもしれぬ。半島に棲むという多種多様の動植物、鳥、魚介…等々も知れば知るほど、奥深そうな存在のように思う。

 

 
 

# by saiseidoh | 2024-11-13 06:33 | 身辺雑記 | Comments(0)

パーソナルな通信

パーソナルな通信_d0289139_20002699.jpeg
 ネットやSNSなどがとても煩わしく、これらの媒体で何か文章等を書いていく気力が急速に萎えている。とても〝重症”で自分でも驚いている。ひとまずはこのブログも発信というよりは改めて、自分の日誌として思うままに記載していこうと思う。ブログから遠ざかって数ヶ月を経てそんな心境だ。誰かに宛てて記載する訳じゃない。備忘録のようなものだ。

 これから少しずつやってみようと思うのは、身内や身の回りで付き合ったり、好感を抱いている人たちへのパーソナルな通信だ。それも勿論、ネットなどに頼らない、ネットなどとは無関係な方法を通じて。試しに雑誌『図書』(岩波書店)に載っていた、このエッセイを読み共感したので、ある特定の人に向けてホチキス止めの小冊子にしてみた。その人は近く、一緒に働く職場を辞める選択をしたので、送別の折に他の記念の品と共に渡そうかと思う。

 文章によって書かれた小説や詩、ノンフィクション、エッセイ等々は書店や通販を通じて購入され、そして消費されていくだけの消耗品という訳ではない。読み、共有され、記憶の中に留められ、未来に向けて何かを再び産み得る、とても大きな人間の資産となっていくことも連綿と続けられていく。

 自分の中に刻印された文章等々は、それを受け止め得ると思われる人々にも届いて欲しい。中村祐子(映画監督、作家)「女が狂うとき 死の淵のティーパーティーーアリス・ジェイムズと女性たち」(『図書』2024年7月号)。

                 *

 かなり久しぶりに弘南堂書店に寄り、松本剛「野呂栄太郎」(新日本新書)、森有正全集4(旅の空の下で)、同5(木々は光を浴びて)を購入。

 

 




# by saiseidoh | 2024-08-22 17:55 | 身辺雑記 | Comments(0)

「沖縄県の歴史」「南風に乗る」

「沖縄県の歴史」「南風に乗る」_d0289139_06491744.jpeg
 沖縄を初めて訪れたのは昨年六月だから一年をかけて柳広司「南風(まぜ)に乗る」(小学館)をようやく読み終えた。内容がつまらなかった訳ではない、逆に改めて目を見開かされ、沖縄が置かれた状況を歴史的にも体感でき、大変貴重な読書経験だった。
  
 沖縄に起きたことを戦中、戦後を通し描いた。登場人物は、詩人山之口貘、政治家瀬長亀次郎、英文学者中野好夫の3人。それぞれに個性あり、気骨ある人物像を描き、そこから沖縄が戦中、戦後に歩んで来た道や暮らしを炙り出す。少しだけ、わかりすぎるストーリーにはなってはいるが、それぞれの人物には全集などもあり、ここからさらに彼らが生きた時代やその都度感じた雑感、作品、評論なども読むべき誘惑に駆られる。

 しかし、最近はとんでもなく消極的になっているブログの更新やネットへの疑念にも関わらず、私は沖縄のことや著作物のことは繰り返し繰り返し、こうして書いている。一体何故なのだろう。
 

# by saiseidoh | 2024-07-14 07:43 | 歴史 | Comments(0)

ナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」etc.

ナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」etc._d0289139_09080807.jpeg
 鬱々とした気分がいつまでも続き、晴れることがない。その原因を考えると、これからの時代への希望の無さだし、一方では晴れ間が見えてこない私生活が影響していると思う。そうは言いながらも、多忙な中、本や雑誌は相変わらず読み続けている。

 最近読み感心しているのは、カナダ生まれのジャ-ナリスト、作家、活動家ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」(岩波現代文庫、上下2冊)。(上)巻だけでも450ペ-ジほどの大冊であり、これから(下)巻へと続いていく。〝惨事便乗型資本主義”という切り口で新自由主義が全世界を席捲してきた歴史などをドキュメントとして追い、丹念に書いている。ここには共産主義を建前とした国家主義、超国家主義の負の側面も垣間見ることができそうだ。(下)巻や同著者の他作品も読むべきかと思う。

 そうした時代の流れとも連動しつつあるインターネットやAI。人間や人類にとっては負の側面が大きいと言うべきで、日経の書籍広告でたまたま見つけた「日経ビジネス」(5月27日号)〝瀕死のインターネット”も手に入れ読んだ。
                *
 今井館教友会から定期的に送られてくる「今井館ニュース」の中にキリスト教図書出版社の出版目録と、同社が企画途中で断念せざるを得なくなった『韓国無教会双書』のパンフレットが入っていた。故岡野行雄氏の意志が皓星社に引き継がれ実現したようで、素晴らしいこと、後に続く世代にとって喜ばしいことだろうと思う。
ナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」etc._d0289139_09084225.jpeg
 今年は原稿を書けなかった「逍遙通信」第9号が届いた。今回も458ペ-ジというボリュームだが、やはり私にとっては病後久しぶりに発行責任者の澤田展人さんが小説を書いていることに敬意を表したい気分だ。77ぺ-ジの中編「なまこ山」。澤田さんの作品はどれもが独特で、人間という存在への洞察が鋭く切実だ。届いてまず、いの一番に読み始めている。


# by saiseidoh | 2024-06-16 18:35 | 思想・哲学 | Comments(0)

柳広司「南風に乗る」

柳広司「南風に乗る」_d0289139_18495106.jpeg
 一年前か二年前かも忘れかけているが、初めて訪れた沖縄のことを思う。きっかけは何だっかも失念したが、三上智恵「戦雲(いくさふむ)」(集英社新書)を読み始めたせいもあるだろう。

 この同時進行形のようなルポ、ノンフィクションが痛く心に刺さる。新川明「新南島風土記」で読み知った、かつての琉球や沖縄が辿った歴史や風土、文化も同様・同根の上にある。沖縄旅行を機に読みかけたはずの柳広司「南風に乗る」も気になり再び手に取り読んでいる。同書の奥村を見ると、昨年3月発行になっていた。初めての沖縄行は一年ほど前のことだったようだ。

 この延長上からか、三上智恵「証言 沖縄スパイ戦史」(集英社新書)も読まなければ、と昨日、通販で注文した。

 かつての沖縄が辿った道を、日本政府の思惑や立場が再び三度繰り返しているように見える。軍事要塞化しつつある島々に人びとの暮らしはどのようにして残るのだろうか?


# by saiseidoh | 2024-05-06 20:11 | 伝記 | Comments(0)

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