彩生堂備忘録


店主:宮内義富、札幌在住。「本の力」「人の力」が必要な時代です。ものごとを、明治以降生まれた様々な思想や文学、社会学、医療や医学、性その他に関する学問・研究など、多面的な物差しで見ていくことの必要性も痛感します。
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「ペコロスの母に会いに行く」

 最近、グングンと注目度がアップの岡野雄一さんの「ペコロスの母に会いに行く」(西日本新聞社)から触れたい。

 ここ1~2か月前からだろうか…何かペコロス、という言葉や文章が頻繁に耳や目に届いてくるようになった。そうこうしていると、数日前の「めざましテレビ」(フジテレビ)で岡野さんとその著書(マンガ+α)「ペコロスの母に会いに行く」がかなり取り上げられているではないか。初めて岡野さんという方と、その本の内容まで知ることとなった。

 中で印象深かったのは、認知症となったお母さんが息子である岡野さんが訪ねていくと、最初誰かはわからないが、岡野さんの特徴であるはげ頭を岡野さんがお母さんの前に差し出すと(笑い)、お母さんが「ペシッ、ペシッ…」と何回も叩き、「ああ雄一かい…」と、そのはげ頭の持ち主(笑い)を初めて理解し、言葉を発する場面があった。

 “ああ、記憶とは、人生を共にしてきた重み、経験、時間の蓄積とはこういう事か…”と深く納得。涙が出そうになった。今これを記していても瞼の辺りがジンとする。アマゾンの本の感想でも人それぞれに場面や泣き所は違え、同じような感想を抱くようだ。

 このように深く、人生の機微を表現できる、岡野さんという人はどんな人か…。

 本日多少言いたい事は他にある。この岡野さんという方は現在62歳(1950年生まれ)。これだけの表現をできる方だから力もあり、苦労もされた方だと思う。しかし、長崎という地域に暮らし、西日本新聞社という1地方紙と出会い、こういう人が、そして作品が世に出て注目される。

 日本もまだまだ捨てたものじゃない、きっと数限りない岡野さんのような方々が日本を支えているのだ、と思う。似た感情は75歳の芥川賞作家、黒田夏子さんの時にも沸き起こった。むしろ、中央で活躍する、画一化された人間や有名人よりもこうした人々は尊いのではないか。

 テーマがどんどんずれてしまうが、「唯一無二」のものを自分なりに追い続けたり、一人ひとりの存在を丁寧に考える生き方こそが人間としてあるべき姿ではないでしょうか…。

 出版の世界で言えば、ベストセラーの中ではなく、私家本や自費出版の世界にこそ、切実な真実があると思う(大げさですが…)。

 ▼さわやか介護セミナー=3月7日13:00~、札幌エルプラザ、岡野雄一講演『母に会いに行くということ』
 
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私家本(麻生芳伸『冷蔵庫』『林檎の實』)


ペコロスの母に会いに行く

岡野 雄一 / 西日本新聞社


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by saiseidoh | 2013-02-08 22:57 | その他 | Comments(0)

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