彩生堂備忘録


店主:宮内義富、札幌在住。「本の力」「人の力」が必要な時代です。ものごとを、明治以降生まれた様々な思想や文学、社会学、医療や医学、性その他に関する学問・研究など、多面的な物差しで見ていくことの必要性も痛感します。
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新美南吉紀行②

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 (上)は南吉の生家

 新美南吉は童話作家として知られている。最近でこそ、小学校の教科書に載る南吉作品は少ないが、かつては『ごん狐』『おじいさんのランプ』『手ぶくろを買いに』など複数の童話が紹介されていたようだ。戦前の童話等では普通だったのかもしれないが、子供が読む物語にしては悲劇で終わるストーリーが多いのが特徴だろうか。

 戦前、童話の位置づけが明確でなかった影響もあるだろう。特に南吉の作品は自らの生い立ちや生活を投影したかのように悲劇を結末として描くことが多い。南吉作品の評論として有名な浜野卓也著「新見南吉の世界」(新評論)では次のように述べる。

 「…少年作家南吉が、無意識のうちにもせよ現実世界においての美は、つねにこのような悲劇を媒介としてのみ開花するという観念を抱いていたことは、驚くべきことである…」

 南吉の生家を訪れた。父は畳屋、母はげた屋をしていた、という。長男は正八と言ったが、生後まもなく亡くなり、南吉がその名を引き継いだ。実母は4歳の折、亡くなっている。近くの岩滑コミュニティセンター内()の南吉資料室(1992年当時。現在はすでにないだろうと思う)で南吉童話が生まれた背景が偲ばれた。
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 作品の舞台などにもなった常福院と岩滑八幡社

 幼ない頃の記憶は誰にとっても切実だ。誰もがそのことを思い出す瞬間はある。南吉童話は人間の悲しさ、特に幼時の記憶を強く刻印するものとして印象的なものに思える。

※1992年当時訪問した後、現在がどうなっているか確かめるため、ネットで調べると、やはり岩滑(やなべ)コミュニティセンターはすでになく、「やなべふれあいセンター」となっているようだ。センター内の各室等がランプの間、ごんホール、花のき村…などと命名されている。南吉資料室の資料等は新見南吉記念館に引き継がれたのだろう。

新美南吉の世界 (Shinhyoron selection (30))

浜野 卓也 / 新評論


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by saiseidoh | 2013-03-20 09:40 | 文学・小説 | Comments(0)

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