新しい哲学を求めて
丸山健二「生きる命 十選 掌編の試み」
新聞3紙を毎日読んでいるが、年明けの企画で注目したもの。
日経が最終面、文化欄で連載している(小さな記事だが…)。「庇護の安寧と怠惰のなかにただ生かされている命」に対し、「(生命の)危機と緊張感に満ちた生をおのれの本能と才知のみで生きる命」。後者を宿した美術作品に、小説家・丸山健二が掌編を綴り、試みたもの。
十選、ということなので、十回連載されるのだろう。不定期に掲載されている。第2回目は森山大道「三沢の犬」に添えられた文章・掌編。
30年以上も前に東京でローカル紙記者として在京作家らの美術展などを取材していた折、日経の文化欄担当記者の方と少しだけ交流する機会があった。何でも普段は、あの最終ページをほとんど一人で取材し、企画するなどして、紙面づくりをしている、などとその折には話していた。
しかし、聞き違い、思い違いかもしれない。文化欄といっても文学から、映画、音楽、絵画、工芸、コミックなどのサブカルチャー…、とカバーする範囲はとてつもなく広い。一人でできなくはないだろうが、普通なら、何人かで手分けしてカバーしているのが妥当ではないのか?
どうでもいいことだが、日経というと、何となく30年以上も前のそんなことを思い出している。蛇足だが、ついでに言うと、日経はあまりジャーナリズムとして好まないが、文化欄だけはなぜか好きだ。
by saiseidoh
| 2016-01-10 09:35
| ジャーナリズム
|
Comments(4)
Commented
by
Takeshi
at 2016-01-11 12:12
x
日経の文化欄を好むものです。
今回の「生きる命 十選」は別格でした。描かれた圧倒的な世界観を論者と共有できるには一体何度読み返せばよいのかと途方に暮れながら、もしやどなたかが評論を書かれているのではとネットサーフィンしたところ、本URLに行き当たりました。
今回の「生きる命 十選」は別格でした。描かれた圧倒的な世界観を論者と共有できるには一体何度読み返せばよいのかと途方に暮れながら、もしやどなたかが評論を書かれているのではとネットサーフィンしたところ、本URLに行き当たりました。
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saiseidoh at 2016-01-11 12:43
評論、というほどの事はとてもできません。しかし、なぜか、気軽にスクラップしているうちに、この連載のインパクト度が強く、切抜きノートに貼り付けていました。日経文化欄はここ2ヶ月ほど読んでいるほかは、かつても折に触れ読むようにしてきました。何か、価値観の問題だと思うのですが、セレクトが良い、という印象をずっと持っています。
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by
Takeshi
at 2016-01-11 23:24
x
私も同じかもしれません。この感想を表現できる言葉が見つからず、論者と共鳴できた時には後悔するかもしれないと思いながらも、スクラップして時折ながめたりしています。
Commented
by
JUNNKO
at 2016-01-23 12:17
x
乾ききった魂に、沁み込んでいく厳選された言葉の数々に
涙が出ました。同じ言葉が、書き手によってこれほどの意味の違いを表すことができる、言葉の不思議さに驚かされます。求めていたものはこういうものであったと、改めて思い知らされました。すさまじい存在を知るにつけ、いっそうの本当の生の恐ろしさに震えます。
涙が出ました。同じ言葉が、書き手によってこれほどの意味の違いを表すことができる、言葉の不思議さに驚かされます。求めていたものはこういうものであったと、改めて思い知らされました。すさまじい存在を知るにつけ、いっそうの本当の生の恐ろしさに震えます。
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