彩生堂備忘録


店主:宮内義富、札幌在住。「本の力」「人の力」が必要な時代です。ものごとを、明治以降生まれた様々な思想や文学、社会学、医療や医学、性その他に関する学問・研究など、多面的な物差しで見ていくことの必要性も痛感します。
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井上理恵「久保栄の世界」

 井上理恵著「久保栄の世界」(社会評論社、4,120円)。劇作家、久保栄(1900~1958、札幌市出身)の『火山灰地』への関心から、この本に行き着き、図書館から借りて読了。

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(左頁右上が久保栄、吉田隆子の写真も見える)

 定価からもわかる通り、総ページ374ページと少々ボリュームはある。井上理恵氏が演劇研究誌や文学研究誌、『久保栄研究』などに書き継いだ論文の集大成。読みごたえがある。

 そもそも何で読もうとしたか、を記すと…。新潮文庫版の『火山灰地』をひと通り読んだのだが、劇のシナリオ形式+明治・大正・昭和初期の言葉+方言?(北海道弁?)⇒ストーリーや背景がなかなか掴めない、映画のように映像として自分の中で結ばれてこない。「これは困った…」と、『火山灰地』の解説本のつもりで読み始めたのだった。

 読み終えて、とても奥が深い、と感じた。『火山灰地』の世界もそうだが、久保栄の他の作品(『林檎園日記』『のぼり窯』など)も、久保栄自身の歩みも。久保は激動の時代を長く神経衰弱に悩まされ、躁うつ病となり、最後には58歳で病院で自ら縊死してしまう。久保についての病蹟学研究もあるようだ(『精神医学』1967.5)。
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 家庭的にも離婚、子どもとの別れ、音楽家・吉田隆子(1910~1956)との共同生活(事実婚?)…と紆余曲折が激しい? ※吉田隆子=与謝野晶子を描いたオペラ『君死にたもうなかれ』の作者。

 ブログ『井上理恵の演劇時評』は、久保はもちろん、音楽家・吉田隆子、演劇一般、木下順二(井上理恵編著『木下順二の世界』=社会評論社、2014年1月刊行予定=)などを取り上げていて、大変勉強になる。

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by saiseidoh | 2013-11-07 12:32 | 演劇 | Comments(0)

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