彩生堂備忘録


店主:宮内義富、札幌在住。「本の力」「人の力」が必要な時代です。ものごとを、明治以降生まれた様々な思想や文学、社会学、医療や医学、性その他に関する学問・研究など、多面的な物差しで見ていくことの必要性も痛感します。
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カテゴリ:文学・小説( 131 )

蓮實重彦「伯爵夫人」

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 デジタルやネット、スマホの席捲で人間の知的レベルや読書する力がとてつもなく、やせ細ってきている。街を歩けば歩くほど、痛感することばかりだ。

 読書環境がこれまでになく貧弱である。コンビ二にも、JRや地下鉄の駅の売店にも知的レベルを満たす本や文庫は皆無に近い。それに代わって置かれるのは、ハウツー本や占い、ファッション、娯楽本の類いばかりだ。

 逆に、そうした本を求めて歩こうとすると、車で郊外型のメガ書店に飛び込まざるをえない。しかも、膨大な書籍が、特に売れ筋の本や文庫、新書などが山積みされるのだ。そこには何の工夫も意思も感じられない。まさに、売れればよいのだ。その膨大さに何か読書欲は満たされず、辟易した徒労感すら起きてしまう。

 身近に何もないか、あったとしても過剰にメガな状態で、そこにあるー。きっとこれからの時代はそうした状況が当たり前になるのではないか?中庸や程良さがないー。

 年末に久し振りに訪れたサッポロ堂書店で購入した「首都圏に生きるアイヌ民族」(草風館)とメガ書店でやっと手にした蓮實重彦「伯爵夫人」(新潮文庫)を手にし、そんなことを考えている。

 しかし、諦めてはいられない。本を読む楽しみはどんな人にも開かれているべきだ。活字を追って読書する習慣や行為は、スマホやSNSなどでスマホやパソコンに向かうより、どれ程大切なことなのか、後世の人々は思い知るに違いない。

by saiseidoh | 2019-01-02 16:11 | 文学・小説 | Comments(0)

「具体性・身体性」

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本日26日付の朝日新聞『文芸時評』。小説家・磯崎憲一郎さんが定期的に書いているが、今回の内容にとても納得するものがある。

笙野頼子「返信を、待っていた」(群像1月号)に共感する一人の芸術家として、『文學界』1月号掲載の「『平成』が終わり、『魔法元年』が始まる』」と題した対談の想像力の欠如と、身体性の欠如に絶望する、と書く。

この対談に登場するO氏、F氏ともに私も、その書く文章その他を信頼できない。磯崎さんの指摘には溜飲を下げる。F氏は現在、某作品で芥川賞候補になっているようだが、マスコミの時流に乗るばかりのその姿勢には全く共感のしようがない。それが率直な感想だ。

by saiseidoh | 2018-12-26 19:14 | 文学・小説 | Comments(0)

第52回北海道新聞文学賞に澤田展人氏

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昨日は仕事が休みの日だったので、毎日配達される北海道新聞朝刊を読むのが夕方になってしまった。一面を見て驚いた。最近、「逍遥通信」第3号に向け、やり取りしている澤田展人さんが北海道新聞文学賞を受賞した、とある。

選考委員を務める川村湊氏や久間十義氏らの評価も高く、絶賛に近い。素晴らしいことだ。もちろん、ものを書く人間として賞を受けるのは、誇りではあるが、引き続き、自分らしい作品を、という念はますます強くなるだろう。

受賞作“ンブフルの丘”は原稿用紙400字で570枚の長編。昨年の「逍遥通信」に掲載され、私も昨年の読後、大変な力作と驚いた。北海道と沖縄を舞台に、社会の底でもがき、希望を求める人々を描いている。

「逍遥通信」第3号は12月には発行予定です。

by saiseidoh | 2018-11-01 07:46 | 文学・小説 | Comments(0)

大江健三郎「政治少年死す」

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 作家、星野智幸氏が大江健三郎「政治少年死す」について書いている(本日付、朝日新聞文化・文芸欄)。「57年間も封印されていると、時代は一巡りして、過去の作品のはずなのに、現代にふさわしい新作のようにさえ思える。…」

 大江健三郎の作品は学生時代、理解できないままに、「格好をつけるようにして」読んでいた。それでも、やはり「芽むしり仔撃ち」「死者の驕り」「飼育」など、初期作品は鮮烈な読書経験として刻まれている。

 「政治少年死す」はきっと未読だが、この星野氏の文章によって、ぜひ読みたいと思う。講談社発行の「大江健三郎全小説」第3巻で読めるようだ。


by saiseidoh | 2018-09-02 08:13 | 文学・小説 | Comments(0)

「近代文学研究叢書」

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 いつもの弘南堂書店で見つけた「日本近代文学研究叢書」という本が素晴らしい。手に入れた35巻目では巌谷小波、宮沢賢治、新渡戸稲造ら5人の人物を取り上げている。

 それぞれの人物の来歴、業績、その他が現地調査などをもとに詳細にまとめられている。資料年表が詳細で、それを一覧すると、それぞれどういった研究者や作家、関係者が雑誌その他の媒体に文章・論文を寄せているかもわかり、研究者、好事家には必携のような作りでもある。丁寧・詳細な作りに驚く。

 昭和女子大学近代文学研究室(近代文学研究所)というところから昭和47年に刊行されている。とても貴重な書籍だと思うが、北大文学部(図書館)除籍本のようだ。

by saiseidoh | 2018-08-19 07:13 | 文学・小説 | Comments(0)

「辻村もと子 人と文学」

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 第1回樋口一葉賞を昭和19年に受けて後、2年後の40歳で亡くなった辻村もと子のことはだいぶ前の道新日曜版で初めて知った。もと子は、戦前から戦中にかけて創作を続けその将来を嘱望されていた。

 その辻村もと子の文学活動と生涯をまとめた「辻村もと子 人と文学」(いわみざわ文学叢書第二集)を弘南堂書店の均一棚で見つけた。しかも、内容が素晴らしい。

 奥付を見ると、もと子のふるさと、岩見沢で「いわみざわ文学叢書」として企画され、昭和54年に刊行されている。著者は詩人で、もと子の臨終の床に短編集「風の街」を届けたという加藤愛夫氏。そうした接点と交友があり、その成果がこの本にははっきりと現れている。

 そこに綴られたもと子の作品と生涯の関係、岩見沢や北海道の風土・自然の姿など、詳細に、そして的確に記されていて、とても印象深い文章と著作だ。


by saiseidoh | 2018-08-16 09:19 | 文学・小説 | Comments(0)

「逍遥通信」

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 本日付の北海道新聞読書欄で「逍遥通信」と発行人である澤田典人さんが紹介されている。

by saiseidoh | 2018-06-24 08:31 | 文学・小説 | Comments(0)

文芸誌広告

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各誌6月号の書籍広告が載っている。

▼高村薫「小説の現在地とこれから」(身体性が後退し、文体が消えた文学に未来はあるのか)
▼熊野純彦「いま、なぜマルクスか?」
▼柄谷行人「私ではなく、風がー津島佑子の転回」


by saiseidoh | 2018-05-09 11:46 | 文学・小説 | Comments(0)

「人脈北海道 ー作家・評論家編ー」

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 弘南堂書店に行けない状態がもう2ヶ月ほども経っただろうか。今日同書店に久し振りに寄った。

 本日は「人脈北海道 ー作家・評論家編ー」(北海道新聞社)のみ購入。昭和49年道新連載を経て刊行された本のようだが、その当時現存し、活躍している作家・評論家ということで、寺久保友哉や木原直彦らの名前や業績、作品などについても触れられている。


by saiseidoh | 2018-04-19 17:32 | 文学・小説 | Comments(0)

「新装版 苦海浄土」読了

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読み終えた。

石牟礼道子が居なかったらこの物語は私たちに届かなかった。

by saiseidoh | 2018-04-15 09:56 | 文学・小説 | Comments(0)

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