彩生堂備忘録


店主:宮内義富、札幌在住。「本の力」「人の力」が必要な時代です。ものごとを、明治以降生まれた様々な思想や文学、社会学、医療や医学、性その他に関する学問・研究など、多面的な物差しで見ていくことの必要性も痛感します。
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本日の拾いもの 関 満博・新籾 育雄『21世紀型中小企業の経営戦略』

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 関 満博さんの本をようやく入手した。

 以下は一部抜き書きです。

 ▼ しかし、二十一世紀の最大の課題となる豊かな社会の地域経済構造は、決して金太郎飴型のものではなく、地域固有の文化・風習・生活様式の現代的再生に基づく個性豊かな社会・経済システムでなければならない。中小企業と地域経済が個性的に光り輝くときに初めて、日本経済の構造は国際的経済摩擦とは無縁の、モザイク模様の地域経済のアンサンブルから成り立つ、トレンド剔出型・生活文化提案型の構造に転換することができる。
 このように考えると、日本的特徴を待った豊かな社会づくりの主役は、固有技術で武装した中小企業群を中核とする、創造力に富んだ個性的な工業・商業集積から成り立っている地域経済が演じなければならない。日本経済の二十一世紀的再生の基盤となる地域ルネッサンスの主役は、地城中小企業である。
 「中小企業に光を!」という発想から脱却し、「中小企業が光に!」というスタンスを、そしてまた中小企業における企業家精神の二十一世紀的高揚を、時代は今、求めている。

 ▼…一つの地域社会の中に小さな商店街が拡がり、人々の日々の生活を支えるという構図がやはり必要なのではないか。現在のような競争原理至上主義でのぞむ限り、地域を支え、人々の交流の場となっていた商店街は息の根を止められてしまう懸念がある。
 そして、私たちの経験したことのない超高齢社会が到来する頃、人々の出会いと交流の場、買い物の場はどのようになっていくのだろうか。全く新たな仕組みが形成されていくのだろうか。こうした事態に対し、私たちは何の処方篭も持ち合わせていないのである。…

 アベノミクスは大企業優先、国家優先のようだが、地域経済への目配りが後退・疲弊してはならないと思う。経済産業省などもそれなりの対応しをしているとは思うが、“それなり”では追いつかない。東京オリンピックなど大イベントが開かれるとなると、地域経済や中小企業への地道なサポートも薄れはしないか、とても心配である。

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by saiseidoh | 2013-09-29 18:21 | 経済・経営 | Comments(0)

『知里幸恵 ユカラの世界展』

 
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 「銀の滴降る降るまはりに…」

 この言葉・文章に接した時、新鮮かつ静かな驚きを覚えた。小学校の教科書、とばかり思っていたが、改めて調べてみると、中学校の教科書のようでもある。

 アイヌ神謡集の中の一篇「梟の神の自ら歌った謡」の始まりが“銀の滴…”。アイヌ神謡集を言語化したのが知里幸恵(ちり・ゆきえ)。19歳で心臓病で夭逝した。

 生誕110年ということもあり、11月5日まで札幌市周央図書館で『…ユカラの世界展』が開かれている(平日午前8時45分~午後8時、土日祝日は午後5時終了)。

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 幸恵の世界には欠かせない、金田一京助や、弟でアイヌとしては初の北大教授・知里真志保(ちり・ましほ、言語学者)、養母・金成マツらの資料、本・著作なども展示されている。

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(岩船修三・絵、『子供のためのユーカラ画集』)
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 知里幸恵や知里真志保、ということで言えば、藤本英夫さん(1927~2005)の「銀のしずく降る降る」(新潮選書)、「知里真志保の生涯」(同)など、丹念に2人の生涯を追った評伝が印象深い。

銀のしずく降る降るまわりに―知里幸恵の生涯

藤本 英夫 / 草風館


 展覧会場では特別展・資料目録として10ページにわたる関係書目リストが配布されており、とても役立つ。
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by saiseidoh | 2013-09-28 11:14 | 図書館・資料館 | Comments(0)

現代生活画とL・S・ラウリー

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20世紀前半のイギリス・マンチェスター周辺の工場地帯の風景画を描いたL・S・ラウリーという画家を知った。現在、ロンドンの美術館テート・ブリテンで回顧展「ラウリーと現代生活画」が開かれている(10月20日まで)、と朝日新聞に載っていたからだ。

 新聞に小さく紹介された、この絵2点を見てすぐに思い浮かんだのは、当方が少年時代に暮らした東京・墨田区の“海抜ゼロメートル地帯”だ。

 時代は半世紀ほどずれているが、特に下の絵などはゼロメートル地帯の工場群の雰囲気ととても似ている。記事にもある紡績工場はじめ、製鋼所、石鹸工場、ゴム工場、皮革工場…等々、ありとあらゆる工場が小さな家内工業をモザイク状に交え林立していた。高度経済成長の時代、である。

 
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(昭和30年代の墨田区吾嬬町付近の工場群、『改訂 東京風土図 城北城東編』(教養文庫)より)

 わが国の絵画、ということでは、ラウリーの絵は「立てる像」(1942)で知られる松木俊介の画風・タッチを思い出すが…。とても心に残る画風と、着眼だ。

東京風土図〈〔第2〕〉城北・城東編 (1966年) (現代教養文庫)

産業経済新聞社 / 社会思想社


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by saiseidoh | 2013-09-27 17:18 | 美術 | Comments(0)

洲之内徹『セザンヌの塗り残し』

 昨日の札幌地方はずっと雨模様でした。すっかり秋の気配です。

 整理整頓が不得意で、読書感想のメモや本から拾った印象深い文章などを折々にメモ程度で残していましたが、あちこちに分散していて訳がわかりません。下記もその一つ。30年ほど前のメモです。

 「…今や何もかもが暫定的だ。暫定的なものに取り巻かれて、人は価値観を失う。価値が格下げされて利用価値だけになる。何が尊重されなければならないのか、誰にもわからなくなっているらしい」(洲之内徹『セザンヌの塗り残し』)


絵のなかの散歩 (新潮文庫)

洲之内 徹 / 新潮社



セザンヌの塗り残し―気まぐれ美術館 (1983年)

洲之内 徹 / 新潮社



気まぐれ美術館

洲之内 徹 / 新潮社



 ご承知の通り、洲之内徹は美術随想とでも言うのか、独特の随筆を連載で永く『芸術新潮』に書き続け、数冊の単行本にしました。絵や画家を巡り、独特の筆致でエッセーを書き継ぎましたが、どの文章も生きることの意味や何を大切にしなければならないか…などが切実に感じられる文章です。

 上記もそのワンフレーズ。30年前の文章ですが、この慨嘆にますます拍車がかかりそうな勢いの世相に当方など歯噛みするしかありません。残念な事ですが、社会全体がそういう事に全く頓着する風が感じられず、無抵抗に受け入れ、忍従するしかないのかな、などとも考えてしまいます。

 このフレーズ、ずっと何となく、K・マルクスの「資本論」に出てきそうなフレーズかな、などとも思っています。

 しかし、洲之内徹の本は折々に読んでいくと、滋味深く、読んでいくと、読後感はいいですね。過去、日本でも自らの信条や生き方を大切にしていた人たち(テーマ上、画家や美術関係の方々が多いですが)が静かに・淡々と生きていた時代があったんだな、みたいな事が感じられるからでしょうか…。


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by saiseidoh | 2013-09-26 06:21 | 美術 | Comments(0)

著者寄贈本

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 永い生活の中で、さまざまな機会にいろいろな方から本をいただいてきた。

 広く読まれそうな本もあるし、自費出版の場合もある。第三者的には評価が難しくても、出した方々にとっては大切で貴重な本だろう。意外な資料価値や発見がある場合もあろう。

 ▼天坂辰雄「交通戦略‘82」(立花書房、HANA BOOKS、1981年刊) 
 天坂さんは昭和3年青森県生まれの弁護士さん。全国交通安全母の会連合会相談役などもされていた。副題には“交通事故防止に欠かせない25章”、とある。他に「刑事弁護の実務」「交通事故百科」などの著書もある。

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▼小山心平「灯台ミニガイド」(さっぽろ文化企画、自費出版) 
 小山さんは1945年札幌生まれの音楽家、作家(2010年に急逝されたようだ)。この冊子は小山さんが自ら全てを歩きまとめた、道内82基の灯台ミニガイド。なかなかにマニアックなミニガイドだ。
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by saiseidoh | 2013-09-25 08:06 | その他 | Comments(0)

今日の拾いもの

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 北24条の麻生古書で以下の2冊。

 カント「人間学」(岩波文庫、昭和27年初版)
 林美一「江戸艶本を読む」(新潮文庫)

 ★本日夜は例年楽しみにしている、地元の新川皇大神社例大祭祭儀・余興イベント。

 今回の出演はダンディフォー、田代純子、ゴージャス松野、酒井あさ美・城山さとみ、そしてスペシャルゲストが「ノラ」の門倉有希ショー。

 例年観客は200人ぐらいかと思いますが、今回は門倉有希出演ということで、500人はいたのではないでしょうか…。

 変な事を言うようですが、日本のことを知るにはAKB48とか、東京とか、東京オリンピックとか、“お・も・て・な・し”などという格好を付けたものでなく、こうした地域のイベントや歌謡ショー、そこで湧き上がる観客、“おひねり”…等々、地べたに脚を付けた庶民の姿を知るのが一番ではないか。それぞれに皆さん、タレント性も豊かで歌もうまく、面白く、テレビを観るなどよりよほどいい。素晴らしい芸のオンパレードでした。
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by saiseidoh | 2013-09-22 21:25 | その他 | Comments(0)

古書の露天販売

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 安岡章太郎の「私の濹東綺譚」を読んでいると、かつて夜店の露天で古書店、というのがあったという。

 銀座で一時期、夜店として営業し、帰りがけのサラリーマンらを相手に商売した。写真がその様子(「私の濹東綺譚」より)。

 これを見て、最近のように店舗を構えて営業することが採算的に厳しいのなら、このような営業形態もあるではないか…と思った次第。銀座の奥村書店という有名な古書店で、露天営業の後に銀座に店舗を構え、つい最近まで頑張っていたが、今は廃業したようだ。

 夜店の露天は戦後、マッカーサーの禁止命令で昭和26年に露天営業はできなくなった、とか。その伝でいくと、今もきっと種々の規制があり、きっと実施は無理なんでしょうか…。

 最近ではどこに出かけてもその地域・地方には古書店・古本屋は皆無で、ブックオフ系ばかりで、ため息しか出てこない。それが時代の趨勢であれば、露天とか、古書ブックフェアとか、時代に合わせたやり方もさまざま工夫されなければならないのだろう。

d0289139_191396.jpg(本日の札幌の街並、夕焼けが綺麗です)

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(鵡川町・鈴木章ミュージアムにて)
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by saiseidoh | 2013-09-21 19:21 | 街(町)歩き | Comments(0)

本日の拾いもの

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 仕事帰りに周辺のブックオフ2店舗や似たような違う店舗を覗いてきた。

 今回もブックオフ系に関しては収穫はなし。ただし、その後寄った新たな所(新古書、漫画・コミック、DVD、音楽CD、ゲーム系等扱い)でそれなりのものが入手できた。

 上記の写真がその一部。伊藤廣著「屯田兵村の百年(中巻)」(北海道新聞社)、玉城康四郎著「仏教の根底にあるもの」(講談社学術文庫)。

 こうした店舗にも当方が欲しいものが時には眠っているようだ。これでそれぞれ100円とか88円だった。本の安売りには抵抗があるが、現実だから仕方がない側面もある。

 こうした業態でも古書・古本に関し、適正な値付けをしてくれると、本も浮かばれると思うのだが…。“売れるものが価値があるのか”“内容で勝負するのか”悩ましいですね。本が好きな人は自分にとってのいい本、好きな本が生き残ってくれたり、大切に扱っていただければ(笑い)いいことだとは思いますが…。


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by saiseidoh | 2013-09-20 05:37 | その他 | Comments(0)

レンブラント「ベルシャザルの酒宴」

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(レンブラント「ベルシャザルの酒宴」1635年頃、ロンドン・ナショナルギャラリー蔵)

 美術や絵画には縁遠い方だが、鑑賞し出すと、大変興味深いことが多い。上記は“光の魔術師”レンブラント(1606―1669)の「ベルシャザルの酒宴」。

 バビロニア王ベルシャザルが、ソロモンの宮殿から略奪した金銀の酒器を使って盛大な宴会を開いている。そこに突然人の手が出現し、誰にも解読できない文字を記した、という場面らしい。この文字は結局、王国の滅亡と王の死を予告し、まさにその夜、王は殺害される。

 絵に描かれた人々の恐れおののく表情や右手の女が酒器を落とす派手な身振りなど、印象が強い。この絵は「アサヒグラフ別冊美術特集 レンブラント」(1990年10月)より。

 当方、美術は学生時代、最も不得手とした科目で、センスがまるでない。しかし、昭和52年、青森県の新聞社で文化部記者をやっていた頃、開館間もなく弘前市立博物館が行ったジョルジュ・ルオー展で無謀にも連載企画(執筆者は専門家だったが…)を紙面で行い、少々、絵心に目覚めた。数々の美術展、写真展などを回り、少しは絵がわかる人間になった…かな、と。

 一時は、洲之内徹著「気まぐれ美術館」シリーズをかなり読ませていただきました。そこにも画家や絵が辿る数奇な運命などが興味深く描かれています。

 最近の美術関連本やブログでは以下が超お勧めです(『ヘンな日本美術史』は未読ですが…)。

 ◆山口晃著『ヘンな日本美術史』(祥伝社) ※第12回小林秀雄賞受賞
 ◆ブログ 弐代目・青い日記帳 http://bluediary2.jugem.jp/

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by saiseidoh | 2013-09-19 06:29 | その他 | Comments(0)

谷川美津枝「ものいわぬ娼妓たち」

 最近、図書館には行くようにはなったのだが、借りるということは久しぶりでした。

 仕事の帰りがけに札幌市新琴似図書館へ。午後7時閉館ということで、少々慌てて駆け込んだ。お目当ての本がすぐに見つからず、時間を要して探し出し、カウンターへ。

 所持していた貸し出しカード(“かしだしけん”)を出すと、「期限が切れていますネ」とのこと。更新しますね、とのことでパソコン上で年齢のみデータ更新。どうも3年ごとに更新の必要がありそうだ。しかし、ネットでの予約も10冊まではできます、とのこと。どこの自治体でもだいたいやっているサービスでしょうが…。

 カウンターで丁寧に対応していただいた女性は司書か司書補の方かと思いますが、当方も○十年も前に暑い盛りの鶴見大学・鶴見短大の校舎で司書補講習を1か月以上も通って、修了証をいただいたっけ…。などということを思い出します。若い頃からやはり本の世界に惹かれていたんでしょう。

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 ところで、今回久しぶりに貸し出しを受けたのは谷川美津枝さんの「ものいわぬ娼妓たち 札幌遊郭秘話」。少し読み始めましたが、基本、聞き書きの体裁の本です。貴重な記録には違いありません。

 どなたも経済的にそんなに余裕がある訳ではないと思います。新刊書店、古書店、そして図書館の組み合わせを自分なりに工夫しながら本を読む、ということを続けていかないとなりません。
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by saiseidoh | 2013-09-18 08:02 | 図書館・資料館 | Comments(0)

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