彩生堂備忘録


店主:宮内義富、札幌在住。「本の力」「人の力」が必要な時代です。ものごとを、明治以降生まれた様々な思想や文学、社会学、医療や医学、性その他に関する学問・研究など、多面的な物差しで見ていくことの必要性も痛感します。
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椎名誠「北への旅」

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 少々長くなるが、引用します。

 『…一番感動したのは宮古の浄土ヶ浜で、あそこは真面目に綺麗だ。ヘンな表現だけれどそう思った。ケバケバしい造作(アーチとかシンボルタワーなど)がいっさいなく、幼稚で汚ない看板などもあまり目につかない。音楽もなく、何よりも白い海岸とそれをとりかこむギザギザの岩が天然の波よけになっていて、あの無粋なテトラポッドなどの消波ブロックがないのでホッとする。
 あまり知られていないことだから書いておくけれど、あのコンクリートの消波ブロックを山ほど置いている国は日本が世界一なんですよ。第二位は北朝鮮と韓国の国境ぞいの海。そのほかはよほど弱い土壌の海岸に激しい波が打ちつけていて、被害が目に見えるようなところだけ。アジアの貧しい国は経済余裕がないのでそういうのを置けなかったりする。メコンデルタとかインドネシアなどだ。日本はちょっと広い海岸があるとお約束のように沖はあのコンクリートの行列だ。でもいくら子細に見てもその海岸が波で侵食されているとは全然思えなかったりする。
 あれはああいうものを売りたがる業者と工事したがる会社のためにあるようなものだと思っていい。そうして一番の原因はそういう無駄なことができるカネが日本にはあることと、そういう無駄なものを無駄と指摘せず、せっかく綺麗な海岸を情けない風景にしていくのを黙認しているその地域の役人たちと住民の無見識なんだと思う。…』
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 椎名誠さんの「北への旅 なつかしい風にむかって」(PHP研究所)より。東日本大震災前の2006年~2010年頃、北東北(青森、岩手、秋田)を歩いた写真とエッセー集だ。

 これがとてもいい!椎名さん自身も書いているが、風景や人間が「しん」としているのだ。いい本であるにかかわらず、これがアマゾンで美品にかかわらず1円、である。安く入手できるのはいいのだが、こういう所にネットの危うさ(ネットだけの問題ではないかもしれないが)を覚える。

 要するに、経済原則だけが働き、“価値”を全く考慮しないのだ。

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 引き続き、同書から。

 『…ポルトガルの口力岬はヨーロッパ大陸の最西端である。
 「ここに、陸尽き、海始まる」
 ルイス・デ・カモエンスの詩句が刻まれている。この文字を読み、みんな黙ってはるか先の茫洋と霞む海の先を見ている(上の写真)。
 竜飛岬にはなんと「津軽海峡冬景色」の歌詞が石碑に大きく刻まれている。しかも二番の歌詞だけが一番よりも三番よりもでっかく書かれていて異様だ。「ごらんあれが竜飛岬北のはずれよ!」
 というやつだ。さらに虚しいのはそこに大きな赤い丸ボタンがあって、誰でも押したくなる。押せばハイテク装置によってその二番からの歌が大声で流れるという寸法だ。こういうのを行政が作っている。こんなのあまりにも幼稚ではないのか。幼稚な役人たちはせいぜいカラオケ屋で熱唱しているだけにしてほしい。税金でこんなお笑い造作物を海につくるな!
 竜飛岬では人は静かに海や海峡を眺め、そこに吹く風の音や激しい波の音を聞いてモノを考える権利がある。…』
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 当方はこの本に少々関心があり、探していたのだが、某ブックオフにて美本を400円にて購入した。

 北東北のさまざまな地や祭り、行事を訪れた、それぞれの文はかなり心に沁みる。そして今はすでにない、風景も相当にある。わずか10年にもならない前なのに…。

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by saiseidoh | 2013-11-30 12:48 | ノンフィクション | Comments(0)

大英博物館 「春画」展がスゴイ!

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  「芸術新潮」を久しぶりに購入した。以前は関心があるテーマ・人物の折にちょこちょこと買っていたのだが…。特に、故・洲之内徹の「気まぐれ美術館」が連載されていた当時は(だいぶ昔の話になってしまった)毎号毎号、同連載を見るのが楽しみだったものですが…。

 ところで、今回である。まずは、同誌編集長の弁を読んでほしい。

   …………………………………

  大英博物館
  「春画」展がスゴイ!


 今月は義憤にかられての特集といってよい。十月三日より大英博物館で始まった春画展は、中世から明治期までの春画の流れを、世界中から選りすぐった質の高い作品でたどる史上最大規模の展観である。歌麿・北斎らによる錦絵のマスターピースはもちろん、目にする機会の少ない肉筆作品も惜し気なく披露されている。大英サイドは、二〇一四年一月五日の会期終了後、日本への巡回展を希望しているのだが、受け入れる美術館・博物館が、なんとひとつもないというのだ。世界が認めた人類の宝、美の遺産を、それを生んだ国でなぜ見られないのか。理不尽きわまりない。せめて誌上で里帰り展を、というのが今回の特集なのである。展覧会実現までの裏話から、出品作の見どころ、最新の研究成果、開幕後の反響まで、ロンドンでの現地取材をもとに、大英春画展を多角的かつ濃密にご紹介する。この特集が、現実の里帰り展の呼び水となってくれたら幸いである。

                 芸術新潮編集長 米谷一志

   …………………………………

 昨今は“義憤”にかられることが多い。当方もまさに同じ気持ち。実物を観れないなら、芸術新潮で鑑賞してやる!(笑い)

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 ここで少しだけ思い出したのが、夏目漱石の生涯の親友で、江戸時代の稀代の思想家・安藤昌益の研究者として知られる狩野亨吉。第一高等学校校長、京都帝国大学文科大学初代学長などを務めた大人物だが、生涯独身で、晩年は骨董収集や春画の研究にエネルギーを費やした。とても興味深い方である。

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by saiseidoh | 2013-11-27 18:56 | 美術 | Comments(0)

図書館よりの貸出本「原子力帝国」

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 手に入れるのを諦め、図書館より借りた。ロベルト・ユンク著「原子力帝国」。

 アンヴィエルという出版社から1979年に刊行され、その後、1989年、社会思想社から現代教養文庫として出された。海外でも高く評価され、30年ほどを経た今、さらに脚光を浴び、原子力・原発に関する名著とされる。

 古書は、教養文庫版はアマゾンほか、どこでも「在庫なし」。そして単行本の方は見ると、何と17,800円。なるほど、復刊ドットコムなどでも復刊要望が高いことが頷ける。

 内容も価格評価に勝る。どんな方にも、必読、と言って良い。ジャーナリスト・作家、ロベルト・ユンク(1913~1994)という人物もとても興味深い。
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by saiseidoh | 2013-11-23 15:40 | 原子力・エネルギー | Comments(0)

渡辺京二「近代の呪い」

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 渡辺京二「逝きし世の面影」(平凡社ライブラリー)をようやくのこと、入手した。

 読み始めから、その世界に惹きこまれる。文庫版ながら大冊604ページ。人名索引、参考文献リストが充実しているのもうれしい。

 併せて読み進める、同著者作「近代の呪い」(平凡社新書)。“フランス革命再考”の“右翼・左翼を超えて”より―。

 「…最後に私の感懐をつけ加えておきます。革命を駆動したエートスを再考すると、退去を一切否定して、新しい人間にもとづく新しい社会を作ろうとする理念が、いかに危険な知識人の思い上りであるか、痛感しないわけにはゆきません。知識人政治、文人政治の倒錯といってもよろしいでしょう。しかし、知識人のみならず、民衆もまた心の奥深くで、すべてか新しく生まれ変る弥勒の世を望んでいるのではありますまいか。このような夢の直接の実現を望むものではありません。

 しかし、そのような夢がなければ、この世にささやかなよきものをもたらす現実的な行動もまた生まれないのではないでしょうか。この点で私は若いころと同様、いまでも自分が左翼であ
ることに苦笑します。今日において左翼とか右翼とかいうこと自体ナンセンスであることは、誰よりも承知しているつもりです。だが、若き日の自分を左翼であらしめた魂は死んではいないのです。人間なんてどう転んでも変りようはありません。

 しかし、ルソーじゃないが、生きる条件をよい方向へ変えることはできそうです。つねにこのような方向を志すことをやめたくない。そういう気持をいまあえて左翼と言ってみたのですが、右翼・左翼などという区分を突き抜けて、温故知新という気持で、これまでのこともこれからのことも考えてゆきたい。これがフランス革命を再考しての私の感懐であります。

 近代市民社会は個別的利害がルールに従ってあい闘い、妥協する場だと先ほど申しあげましたか、ロベスピエールはそんな社会にたえられなかったのでしょう。彼はテルミドール九日に議場で敗れたとき、「悪人どもが勝った」と叫んだそうですが、利己心を克服した正義の人々のコミューンを求めるこの心情はいったい左翼なのでしょうか、右翼なのでしょうか。少なくともこれが近代の一面を忌避する心情であることは確かです。私はこの心情が幼いものだということに同意しますが、おとなの現実主義の奥底にこの幼い叫び声が、たとえかすかであっても鳴り続けていなければ、この世は闇だという気がしてなりません

 今、私達も“この幼い叫び”は若さゆえの反抗・反発心とは明らかに違い、抱えていることに気づく。十分に経験を積み、世の厳しさを知りつつも、世の無情等に胸の奥底にはまだ残り火が燃えている。渡辺京二氏の本気度は信用してよいと思える。

 そう言えば私も、ルソーは一部難しい著作(文庫)もあったが、ほぼ全てを拙い読解力で一生懸命に読んだものだ。何かが心に共鳴・共感していたのだろうか…。

 人間にはやはりその命を終える、その瞬間までやるべき事がある。当たり前のことではあるが…。それを信ずるに読書はやはり、欠かせない。

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by saiseidoh | 2013-11-22 08:08 | 政治・思想 | Comments(0)

「私の一本の映画」

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 映画が好きでかつてはだいぶ観ていたのだが、最近はめっきり観ることがなくなった。

 最近、映画は邦画、洋画を問わず、次から次へと公開され、よくもこんなに映画が作られるものだ、と思う。そして、そこそこ観客も確保されているように見える。しかし感じるのは、映画も全くの“消費の対象”であり、これから5年、10年先にファンに熱心に語られる映画が一体どれだけあるのか、という気分だ。

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 「私の一本の映画」(キネマ旬報社、1982年)は改めてページを繰ると、1982年第一刷をすぐに購入し、読んだようだ。「キネマ旬報」に連載された“一本の映画”をまとめたものだったように記憶している。

 今そこに原稿を寄せた顔ぶれが凄い。もう半分以上の方が鬼籍に入られたように思うが…。立川談志、尾崎秀樹、池波正太郎、和田誠、三國一朗、松本清張、常盤新平、手塚治虫、辻邦生、筑紫哲也、星新一…。
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 計50人。そして、それぞれの方々の“一本”とそれにまつわるエピソード、思い等が面白い。30年前の村上春樹は「いつも二人で」(スタンリー・ドーネン監督、オードリー・ヘップバーン主演、昭和42年日本公開)。松本清張は「眼には眼を」(アンドレ・カイヤット監督、昭和33年日本公開)。清張のプロフィール紹介では『最近、“霧プロ”を設立、映画製作にも乗り出した』等の記載に時代を感じますね。

 たまにはこんな本を読むのもいい。そして、ここに登場する映画は、そしてここに登場しない無名映画にしてもかつてのラインナップは決して“消費される映画”とは思えない。繰り返し繰り返し、思い起こしたい映画群なのだ。

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by saiseidoh | 2013-11-20 20:50 | 映画・映画の本 | Comments(0)

小沢昭一+永六輔「陰学探検」

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 「札幌ブキニスト in チ・カ・ホ」で見つけたこの本。要するに、性の裏街道の世界をかなり詳細に語りつくした面白い本。

 昭和42年から2年間にわたり「週刊アサヒ芸能」に連載されたということで、当時の一般庶民が愛読する大衆週刊誌は本当にユニークで、奥も深かったんだな、と。内容がとても濃い。
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 刊行した創樹社という出版社にも興味が湧く。現在も似たような社名の出版社がいくつかあるが、どうも同じ社ではないような気がする。購入した本が初版で、中には“創樹No.1”という出版案内も挟みこまれてあった(1972年春季号)。このパンフレットには深沢七郎対談集「盲滅法」、花田清輝最新文芸論集「冒険と日和見」など、興味深い書評も載せられている。かなり活発に出版活動をしていたようだ。
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 ところで、「陰学探検」。相当に面白い、と記しておこう。最近入手した「ストリップ芸大全」(2003年、データハウス)と共にしばらく読み続けます。

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by saiseidoh | 2013-11-19 08:13 | エロチカ | Comments(0)

「札幌ブキニスト in チ・カ・ホ」初日

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 初めての「札幌ブキニスト in チ・カ・ホ」は本日が初日。

 開始早々の午後3時過ぎに覗いてきた。チ・カ・ホ(地下歩道空間)はさすがに大勢の人が歩いています。それらの人が足を停めて覗くのか、と思うと、少し違うようでした。

 チ・カ・ホを歩くメイン層は若い男女・男女の洪水のような流れ。そして、古本に群がっている(笑い)のは、そうした若い男女というよりは、高齢者や中高年の女性らが多いような気がしました(あくまでも印象です)。

 やはり、若い人は古本にはあまり興味がないのでしょうか…。しかし、思いのほか、人は集まっていて、本が好きな人はまだまだ多い、と若干意を強くしました。
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 予てより欲しい、と思っていた本もそれなりにありました。そんな訳で、いつになく合計3,000円近くもの本を40分ほどの間に購入してしまいました。

 この前の北海道新聞では、札幌ブキニストについて、今回の呼びかけ人の一人、書肆吉成の吉成氏は「季節季節にやれれば…」云々と語っていました。町中に古書店が減ってしまった今、こうした形でのイベントが常時やられる事は大歓迎です。求める人は多いはずです。若い人も一人でも多く、この輪に加わって来て欲しい、などと夢想もします(今でも若い人にも当然ファンがいるとは思いますが…)。


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by saiseidoh | 2013-11-18 17:24 | 街(町)歩き | Comments(0)

藤田若雄「労働者の新しい精神の探求」

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 私たちはまだまだ勉強すべき事が多い(と思う)。ただ単にマスコミが日々流す情報・記事だけを追っていては、気がつけないことがあまりに多い。

 最近、当方が現在住む、北海道出身の藤田若雄という研究者・思想家を知った。実は若い頃、無教会キリスト教の勉強会2箇所に継続的に通い、今も心情的には無教会主義者なのである(と思っている)。そんな訳で、藤田若雄、という名前は内村鑑三―矢内原忠雄のラインから名前だけはうすうす知ってはいた、

 しかし、藤田若雄、という人物がどのような道を歩み、どのような仕事をしたかは、最近知ったのである。

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 「労働組合を持たない労働者は本質的には奴隷と同じである」。労働法学者で元東大教授、そして研究にあたっては実地調査や職場の声を聴くことを重視していた藤田は労働者や職場について、このように言う。

 今や組合、というだけで否定的に捉えられる向きもあるが、それは一方的な見方に過ぎないと思う。

 そんな訳で、藤田の「「労働者の新しい精神の探求」(三一書房、1983年刊)を図書館から借り、読み始めた。

 現在と未来を、イデオロギーに影響されることなく、考え、可能性を開く道はまだまだありそうな気がするのですが…。そのヒントは歴史や先人の仕事にまだまだ埋もれていると思う。

★桐英会(東京高等師範英文科の最後の卒業生らによるブログ)
 現在、4名の方が持ち回りで日々記録を残しているが、松山馨さんという方が藤田についてほんの少し触れていました。また、このブログは現在の日本の社会状況をかなり鋭く分析していて、目が開かれます。まさに、“敬服”することしきりです。
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by saiseidoh | 2013-11-16 18:19 | 政治・思想 | Comments(0)

「2014 札幌国際芸術祭(SIAF)」

 来年7~9月の期間、札幌で開かれる「2014 札幌国際芸術祭(SIAF)」のマスメディアへの露出が増えて来た。

 これまでもゲストディレクターに坂本龍一氏、そして浅田彰氏(京都造形芸大、企画アドバイザー)らの名前も出ており、話題性は高そうだ。あと1年弱ということで、マスコミに記事化されることも多く、改めて内容に関心を寄せるべきか?

 テーマは「都市と自然」。そしてサブ・テーマは「自然」「都市」「経済・地域・ライフ」。当たり前すぎるような気もするし、実際の展示やイベント等を直に観てみないとわからない。

 日常生活の中に“芸術”があることも、そしてSIAFのように時にイベントによって盛り上げることも必要だろう。しかし、普段から地道に取り組んだり、自分の生活圏にちょっとした芸術・文化が何気なくあることの方がより重要ではないだろうか?

 イベントはやはり一過性に終わってしまう。

 まあ、小理屈を言うより、実際にさまざま体験したり、愉しむ事が基本でしょう。

 しかし…。寂しいのはさまざまな企画があるであろう、その行事・展示・イベントにどれだけ参加できるのか、懸念されることですね。参加しやすい雰囲気というのもあるだろうし、特に経済的な事がとても大きい。普段の生活圏ですら、気持ちはあってもままならない、のだ(とてもみみっちい話ですが…。でも庶民にはそれが現実でしょう。本当に悲しい現実ですね)。芸術を享受するにも“格差社会”ではありませんか…?

 最近、全国的に国際芸術祭ばやり(?)な事も少し気になります。瀬戸内国際芸術祭、あいちトリエンナーレ、新潟県・大地の芸術祭…。そのイベントの話題性、インパクトがその時限りの、華やかなことだけでいいのか…。当方は地域でやはり普段から愉しみを享受できた方がいいです。そうした“仕組み”も考えたい。ご近所にある古本屋、書店、カフェ、ちょっとした画廊、資料館…。いいですね…。
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(浅田彰、坂本龍一氏ら芸術祭関係者、北海道新聞より)

★2014年7月19日(土)〜2014年9月28日(日)(72日間)


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by saiseidoh | 2013-11-15 07:57 | その他 | Comments(0)

岩波古語辞典

 かつて中学教諭・国語免許取得のため古文等の授業を受けた。それから○十年、必要があって書庫に残っていた古語辞典を取り出し、翻訳のような事にチャレンジしているが、これが結構面白い。
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 学生時代と雲泥の差、である。あの頃は全く古典、古文、漢文等の素養は身に着かなかった。

 それなりに社会人としての経験を積み、かつての時代について読書し、学び…そんなことを経て来ると、昔も今も実は人間がやっていることには大して違いはないのではないか、と思うようになった。
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 そうすると、古文や古語辞典は俄然、異なった輝きを持つことになる。

 岩波古語辞典は1974年刊行で、当時は知らなかったが、編纂の大野晋らがそれまで20年近くもかけてまとめ上げた、まさに労作だったようだ。

大野は「序にかえて」で次のように記す。

「…だれしも、日本人であれば、知的世界に目覚めたとき、眼前にヨーロッパ・アメリカの学芸と技術とを見るであろう。それを学び取ることが日本の将来をきりひらくと多くの人は考える。しかし、ヨーロッパ・アメリカに学ぼうとする主体である日本とは一体何であろうか。
 日本の思想や文化の源流を尋ねるには、さまざまの道がある。しかし、その中で私は、日本語を明らかにすることによって日本を知るという行き方を選んだ。日本語の根源を明らかに知るために、私は古代日本語を学び、その展開として、日本語の系統あるいは成立をぞ知ることを重要な課題と考えた。そこで私は日本語とアジアの言語との比較を試みたことがあったが、その際に、基礎語なるものが実に重要であることを身にしみて感じた。基礎語は、日本人の物の判断の仕方を根本的に規制している。また、それは長い年月にわたって使われ、変化することが少ない。日本を理解するために、基礎語の個々の意味を明確に把握することは、一つの大事な仕事である。」
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 古典、古文から当時の日本人の生き生きとした姿を知る。そしてそこにはこれからを生きる日本人に、さまざまな手がかりを与えてくれる、豊かな財産がぎっしりと詰まっている。

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by saiseidoh | 2013-11-14 08:05 | 古典文学 | Comments(0)

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