彩生堂備忘録


店主:宮内義富、札幌在住。「本の力」「人の力」が必要な時代です。ものごとを、明治以降生まれた様々な思想や文学、社会学、医療や医学、性その他に関する学問・研究など、多面的な物差しで見ていくことの必要性も痛感します。
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シアターキノ「MOVIE LINEUP」100号

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 シアターキノの上映プログラムパンフレット「MOVIE LINEUP」が100号(2015.11―2016.1)を迎え、記念パンフレットが配布されている。

 保存版として1992年から23年間の代表的な上映作品を、2092年、キノの100周年に上映したら、という遊び心満載のパンフレットだ。ここに取り上げられた映画・映像の数々。素晴らしく、豊かな作品ばかりだ。しかし、実際に観ることができたのは、ごくごくほんの一部だ。

 現支配人、代表、そして100周年を迎えた2092年の支配人(5代目支配人、現世代の子孫という設定)それぞれの挨拶も並ぶ。

 戦争、原発、格差…とても困難な課題があり、それを正面に見据えながらも、映画・映像や街づくり、文化を守る、という決意が溢れた紙面づくりと思う。


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by saiseidoh | 2015-12-31 11:04 | 映画・映画の本 | Comments(1)

「戦争画リターンズ」、映画「FOUJITA」

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 シアターキノつながりの話題を書く。

 田辺福徳先生からお勧めの平山周吉「戦争画リターンズ 藤田嗣治とアッツ島の花々」はとても面白く、興味深い。400ページを超える本なので、時間はかかっている。

 資料や公にされている本・雑誌等を縦横に読み込み、さまざまなエピソードを語っている。藤田やアッツ島をキーワードに三島由紀夫、小林秀雄、太宰治…同時代を生きた多様・多彩な人物との意外なつながり、接点などを見出し、主に昭和初期、戦中、戦後の時代を彷彿とさせる。

 太宰の友人(実質、弟子ともされるが…)、「落ち幹」三田循司が玉砕要員としてアッツ島で亡くなっていた件などは涙なくしては読めない。

 藤田は一筋縄では理解できない人物だ。平山の筆致はそのように読める。一方、現在、シアターキノで上映中の小栗康平「FOUJITA」も宣伝用チラシや映画評などを読むと、同じように、藤田を「こじれととるか、したたかさととるか」一筋縄ではいかない、と小栗監督もコメントしている。

 いずれにしろ、こうした映画を上映し続けるシアターキノはエライ、と思う。素晴らしい映画館だ。
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by saiseidoh | 2015-12-30 13:56 | 映画・映画の本 | Comments(0)

歳末のすすき野・狸小路

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 偏頭痛と首付近の凝りをきっかけに脳神経外科と整骨院通いをして3ヶ月ほどが経った。6日間の休みに入ったので、本日は朝一番で整骨院へ向かう。

 いい機会なので、帰途は地下鉄南北線に乗ってすすき野まで。目的地は大通りとすすき野の中間あたりにあるブックオフ。期待せずに1時間ほど見たが、やはりほとんど良い本はない。ここ10年間ほどに出た本や文庫、新書…がただ古くなっただけのベストセラー本や比較的売れた本が中心だ。新刊書店の“二番煎じ”店だ。それでも多少は読めそうな4冊は購入したが…。
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 せっかく街に出たのだから、と付近を散策する。目に付いたのが、市電のループ化によるすすき野付近の街並みの変化。市電が道路中央ではなく、両端を走る風景もいい。

 ついでに付近にかつてあった古書店なども確認する。すすき野のど真ん中にあった「北海堂」はまだ看板のみかかり、建物はある。狸小路商店街からやや外れた場所の「八光書房」は外から書架は見えるが、営業しているのか、閉店?、休業?…なのかなどはわからない。

 そして、いつも入館せずに、チラシのみいただいているシアターキノに寄り、チラシを入手。それにしても、狸小路も映画館がかつては軒並みだったが、今やシアターキノのみが孤軍奮闘している、という図に隔世の感だ。


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by saiseidoh | 2015-12-29 14:22 | 街(町)歩き | Comments(0)

「東北学」創刊号

東北学〈vol.1〉総特集 いくつもの日本へ

東北芸術工科大学東北文化研究センター


 先日、弘南堂書店で購入した1冊。東北は当方の故郷で、宮沢賢治、寺山修司、古くは安藤昌益、狩野亨吉…ら興味深い人々を輩出した土地柄。まだまだ埋もれた人もいる。

 あの奥羽山脈の奥深い自然、山々も懐かしく、印象深い。

 本日で現在勤務する職場も仕事納め。
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by saiseidoh | 2015-12-28 07:41 | ★地方・小出版★ | Comments(0)

吉村萬壱“トンネルの中”

 本や古書をめぐる楽しい、そして心豊かになれる話題を綴りたいのだが、どうもなかなかにそうなれない。これが、時代というものかもしれない。気分は晴れない。

 昨日も弘南堂書店に、今年行けるのも最後の日、と思い、寄ってきた。3冊ほど購入したが、あまり満足いく買い物ではなかった。

 本日午前。日曜日ではあるが、ゆうメールで「図書」1月号が届いた。早速ページを繰る。真っ先に目立ったのが、吉村萬壱“トンネルの中”。原爆で亡くなり、心に刻まれるいくつかの作品を残した原民喜に関するものだ。

 吉村は、原民喜の作品や広島行のエピソードなどを中心に、「個々の国民を一挙に隘路に押し込めて加速し、考える余地を与えずに国家の目的にのみ奉仕させようとする陳腐で愚かな企みがまたしても繰り返されようとしているならば、いま我々に求められているのは立ち止まって個に立ち返り、この狭いトンネルから自力で脱出を図ることではあるまいか、とふとそんな気がする」と書く。

バースト・ゾーン―爆裂地区 (ハヤカワ文庫JA)

吉村 萬壱 / 早川書房


 毎月の連載ながら、高村薫「作家的覚書」“無能のともがら”はいつになく激越で、残念な気持ちもあるが、共感せざるを得ない現実があることも確かだ。

 今この国は個人がとても生きづらい時代にいる、としか思えない。


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by saiseidoh | 2015-12-27 12:32 | その他 | Comments(0)

精神医療のためのレッスン⑧~「ミジンコのような存在…」~

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 時折、非日常の経験をするのはいいことだ。

 滅多にないことだが、金曜深夜から土曜早朝にかけて車内のラジオで朝井リョウ・加藤千恵「オールナイトニッポン0(ゼロ)」を聴いた。

 何気なく聴いていたのだが、聴き進むうちに意外に面白い、と感じる自分がいた。作家、朝井リョウが好きなバレーボールの試合にバレーボール協会スタッフの案内で取材する立場の人間として歩いていた折の経験・感覚。その時のエピソードを語っていた。

 「…〇〇選手(超有名選手らしい)に実際に相対した時、(そのオーラや凄さ?に圧倒され、(作家である)自分はミジンコのようにちっぽけな存在だ…」とつくづく感じた、という感想。

 確かにスポーツ選手は超圧倒的に「現場の人」で、そこにおいてガチンコの真剣勝負を常にしている。一方、取材者や作家、ライターは基本、「現場の人」ではなく、観察者や表現者である。朝井が感じる、「現場で何もできない人」は自分の存在を卑小化し、卑下することしかできない、という感覚はよくわかる。

 精神医療の世界においても常に同じような感覚に襲われ続けてきた。

 基本的に「現場の人」ではない自分。一方、現場で患者・利用者を処遇するスタッフの凄さ。そうした構図を日々見続けてきた。そして―。そうした現場で能力を発揮する人たちはそこを離れても、例えば事務処理能力においても能力を発揮するのだった。

 ますます自らを卑小化するしかない存在。

 しかし…、朝井リョウがそうした場面ではミジンコのような存在であっても、一面で直木賞作家としての凄さはあるのだ。

 精神医療、精神障害領域において、「現場の人」だけでは日々の営為が成立しないことも確かだ。ミジンコのようにちっぽけな存在、と自覚しつつも、現場の人と相対し、あるいは支える、あるいは表現する…etc.etc
の仕事者も必要であろうと思う。

 精神医療や関連の領域に関わり続け、現場の人の凄さをずっと感じ、見続けている。しかし一方において、それを支える事務方の仕事も大切だとも思う。あるいは、作家やライターと同様に、現場の状況を後世に残したり、表現できる人材も必要なのかもしれない。

 ※ちなみに、加藤千恵さんという方は名前だけは聴いたことがあったように記憶するが、改めて調べると、旭川出身の歌人、小説家である。道理で朝井と旭川や北海道の話題でも盛り上がっていた。番組自体も新進気鋭の二人の、音楽、サブカルチャー、小説、お笑い…さまざまな話題を軽やかに語り、とても面白かった。



 

 
 
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by saiseidoh | 2015-12-26 13:17 | 精神医学・医療・障がい者福祉/社会 | Comments(0)

春秋社

 朝方から車のトラブルがあり、2時間ほど時間を費やしてしまった。

 本日の朝日新聞各ページを慌ただしく見ると、春秋社の書籍広告、下記の2書が目に付いた。

 ▼川本三郎「東京叙情」
 ▼「定本 平出修集」

 

東京抒情

川本 三郎 / 春秋社



定本 平出修集 第四巻

平出 修 / 春秋社


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by saiseidoh | 2015-12-25 07:44 | 出版社 | Comments(0)

野坂昭如

国書刊行会の野坂昭如コレクション全3巻、リターンズ全4巻。

野坂昭如コレクション〈2〉骨餓身峠死人葛

野坂 昭如 / 国書刊行会



野坂昭如リターンズ〈2〉エロトピア

野坂 昭如 / 国書刊行会


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by saiseidoh | 2015-12-24 07:31 | 文学・小説 | Comments(0)

様々な営為

ここ30年ほど 朝日新聞と北海道新聞を読んでいるが、ちょっとした事情で今月は日経新聞も読んでいる。

報道姿勢や編集方針は合う、とは言えないが、朝日や道新とは異なる記事の取り上げ方や視点、寄稿など、多様・多彩な見方が参考にはなる。

書籍広告も日経独自のレイアウトやセレクトが目を引く。他紙でも広告されているのだろうが、日経の広告で次のような本が目をひいた。

◆勝目梓「おかしなことに」(講談社)
◆内館牧子「終わった人」(同)

おとなの童話 おかしなことに

勝目 梓 / 講談社



様々な作家やクリエイターがさまざまな営為を続けている。多様な見方や多様な作品を楽しむのも大切なことか。
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by saiseidoh | 2015-12-23 09:52 | 文学・小説 | Comments(0)

原子修「叙事詩 原郷創造」

昨日21日の北海道新聞夕刊に北海道新聞文学賞を受けた原子修さんが「未来から縄文を取り戻す」として寄稿している。

現在、人類(現生人類、ホモサピエンス)が陥っている「人工人類」の傾向を大きな自然と共生する「自然人類」へと大転換させるべき、同氏の詩業はそれを訴え続ける旅だ、との主張に共感する。

原郷創造―叙事詩

原子修 / 共同文化社


「自然にかえれ!」と論陣を張ったのは、J.J.ルソーだ。その時代とは遥かに状況が変わり、さらに人工的な空間が広がった現代だが、自然との共生や心・言霊・智慧への配慮は大きな思想として考え続けなければならないのでは、と思う。

グローバル化や新自由主義に対抗するのは、昨日紹介した、井手英策「経済の時代の終焉」などとともに次の時代の思潮となっていかなければならない。
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by saiseidoh | 2015-12-22 07:13 | | Comments(0)

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