彩生堂備忘録


店主:宮内義富、札幌在住。「本の力」「人の力」が必要な時代です。ものごとを、明治以降生まれた様々な思想や文学、社会学、医療や医学、性その他に関する学問・研究など、多面的な物差しで見ていくことの必要性も痛感します。
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『「民営化」の幻想~国鉄分割30年』

 北海道新聞が30日から朝刊で『「民営化」の幻想~国鉄分割30年』と題して北海道の鉄路についての連載を始めた。『揺れる鉄路①』ともなっているので、長期シリーズになるのだろう(あるいは先行してすでに何回か出ていたような気もするが…)。

 自分でも何で鉄道問題にこれほどに興味があるのかわからない。しかし、ここ数十年の交通政策が間違っている、という思いはずっと消えない。鉄路は地域の財産だ。しかし、新幹線は地域の財産ではない。経済やお金を優先した貧しい移動手段だ。もちろん、新幹線もさまざまな工夫によって財産とは成り得ると思う。

 北海道新聞『「民営化」の幻想~国鉄分割30年』1回目ではEU各国などで採用されている“上下分離案”が紹介されている。この方法もいいと思う。

 しかし、虚しいのは、こうした考え方や提言などにもかかわらず、これらの議論は時間が経てば落ち着くところに落ち着いてしまうのだろう、と思わざるを得ないところだ。それは、過去の政策の積み重ねや日本社会の成り立ちがそうさせてしまう。修復が不能なほどに鉄路の維持は難しい。それは、地域社会が修復不能なほどに、貧しくなっていくこととほとんど同じだと感じてしまう。


 

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by saiseidoh | 2016-12-31 09:08 | ジャーナリズム | Comments(0)

遠く、懐かしい人々

過酷な労働と言うほどではもちろんないのだが、仕事をしている人々は普段は気持ちにゆとりを持てないというのは仕方がないのではないだろうか?乱暴な言い方だが、今の日本社会がそうなっているのだ。しかし、少しでも(改善できることは)改善したり、自分なりに努力・工夫も必要なのだろう。

ようやく年賀状に手をつけることができた。やはり、年賀状を作っていると、普段はほとんど交流がない人々が大半なのに、懐かしさがこみ上げる。久しぶりに会って同時に過ごした日々を語り合いたくなる。今の日常の中では「遠い人」なのだが。

ネットやSNSが当たり前の時代になり、「遠い人」が近くなった、という。では、年賀状作りを機に思い出す人々とSNSをすれば「近くなる」のか?「今」を共有はできても、過去はネットでは共有できないのではないか?たとえ共有できたとしても、それはすぐに「現在」に変質してしまうのではないか?ネットやSNSには懐かしさ、がないのだ。

年賀状や手紙には懐かしさがあり、「過去」もびっしりと詰まっている。

漫画は戦争を忘れない

石子 順 / 新日本出版社


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by saiseidoh | 2016-12-29 10:34 | 身辺雑記 | Comments(0)

日経・回顧 小説

日経の読書欄は朝日や北海道新聞とはまた違い、意外に面白く読める。

日曜日の「回顧 2016」では文芸評論家・清水良典氏が“多文化の日本見つめる”として津島佑子「ジャッカ・ドフニ」(集英社)、梯久美子「狂う人」(新潮社)などを挙げている。いろいろな意味で、多文化であることが大切で、そして豊かなことだと思う。勝目梓「異端者」(新潮社)も縄田一男氏が『わたしの3冊』の1冊に挙げている。

異端者

勝目 梓 / 文藝春秋


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by saiseidoh | 2016-12-27 07:16 | 文学・小説 | Comments(0)

「函館薬業組合罹災復興史」

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 どんなに科学が発達し、ITが成長を遂げた、技術も進歩した、と思っていても、実は昔も今も少しも変わりはないのだ。残念なことだが。

 必要があって昭和9年3月に起きた函館大火(死者2166人、焼損棟数11,105)の記録を調べているうちに、災害直後に刊行された「函館薬業組合罹災復興史」が4年前に復刻されたことを知った(4年前の函館新聞による)。問い合わせ先も書かれていて、まさか4年前の記事なのでもう無理だろう、と連絡してみると、「まだ残部があります」とのこと。

 土曜日に申し込んだばかりだが、昨日レターパックで早々と届いた。「三上参省堂薬局」と刻示されたボールペン付き(サービス)で。

 大火直後に函館薬業復興委員会がその惨禍を後世に残し、全国から届いた支援・応援の品や励ましにも応えようと刊行されたものだが、4年前に奇跡的に残っていた1冊をもとに復刻した、とか。わずか33ページの小冊子だが、貴重・稀少な記録である。

 昭和9年のこととはいえ、この大火の影響で道内最大人口の座をその後札幌市に譲ることになった、という。

 人間や社会は成長していないのではないか?という疑問の前には、感じることとして次のような事実もある。

 大火の折の全国からの義援物資の数々と励まし、直後に飛んでくるように訪れた各地団体リーダーたちの姿…。人の温かい気持ちはいつの時代も変わらないのだろう、と信じたい。そして、過去や歴史を知ることがどれだけ尊いことか身にしみる。



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by saiseidoh | 2016-12-26 06:25 | 歴史 | Comments(0)

2016年の収穫 心に残る本

 朝日新聞の読書欄は年末恒例の『書評委員が選んだ「今年の3点」』。さすがにさまざまな本が選ばれている。書評委員毎に紹介するのはわずらわしいので、めぼしい書名のみ挙げてみる。

▼「炎と苗木 田中慎弥の掌劇場」(毎日新聞出版)
▼「沖縄は未来をどう生きるか」(岩波書店)
▼「樺太を訪れた歌人たち」(ながらみ書房)
▼「孤高のハンセン病医師 小笠原登『日記』を読む」(六花出版)
▼「尊厳と身分 憲法的思惟と『日本』という問題」(岩波書店)
▼「在日二世の記憶」(集英社新書)

 「セカンドハンドの時代」(岩波書店)を挙げた柄谷行人氏は「…もはや出口はないが、人々には苦悩する力がある。それが新たな活路を見いだすことになるだろう。それは日本社会でも同じだ」と書く。心に残り、共感する。
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by saiseidoh | 2016-12-25 11:14 | 新刊 | Comments(0)

ビジネスモデルではなく、扱いたい本を

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 「日本の古本屋」経由で林瑞枝「フランスの異邦人」(中公新書)を2冊も入手してしまった。以前にも触れた新聞記事が気になり手に入れたが、アマゾンではとんでもない値段で出品されている。今回は2冊で送料を入れても1000円に満たない。富山と茨城の古書店から購入させていただいた。
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 とにかくアマゾンは好まない。「いい本」かどうか、ではなく、何でもいいので売れるから売っているだけだから。純粋に「いい本」「好きな本」などの評価は一切ない。ビジネスモデルとグローバリズムの極限なのだ。

 アルノー・ヴォレラン「フクシマの荒廃」を広告する緑風出版の書籍広告欄に相変わらず、「現在Amazonへは出荷停止中です」となっている。とても気分がいい(笑い)。

 新刊もそうだが、特に古書・古本は店主(責任者)が扱いたい本を扱うべきなのだ。ビジネスモデルの呪縛から逃れることで、世の中、どれだけ暮らしやすくなるのだろうか?本来人間はそのように生きていくものではないのだろうか?
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by saiseidoh | 2016-12-24 15:04 | 古書店 | Comments(0)

ギャラリー工房WOO

 昨日は土曜・日曜に出勤した分の代休で、個人的にやっていることで何箇所かに寄って来た。

 夕方近くには1ヶ月半ぶりで、「ギャラリー喫茶工房WOO」へ。一箱古本市の本を追加で置いてきた。今回のタイトルは「2017年!今こそ本を読む」で、さまざまな本を選んでみた。

 予てより知り合いの店主と近況を交歓し合ったが、「北海道情報誌HO(ほ)」がなぜか店のことを聞き付け、取材していってくれた、とか。その結果は現在発売中の「別HO(ほ)」2017年1月増刊号に掲載されている。今号の「別HO」は特集“札幌10区 あなたの街の「ご近所ごはん」”。WOOは“なにしろ「隠れ家」好きなもので”のセクションで紹介されている。

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別HO(HO8月号増刊)はぐれ本

ぶらんとマガジン社

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by saiseidoh | 2016-12-22 06:40 | 身辺雑記 | Comments(0)

“魚眼図”

 時折、地味ではあってもそうだな、と思わせることがある。私の場合は、新聞を今は4紙も読んでいるので、新聞の小さな記事のことが多い。

 昨日の北海道新聞夕刊文化欄の“魚眼図”。岩佐光啓さんという帯広畜産大学教授の方が書いている。昆虫標本調査のためフランスやドイツを訪れ感じたこと、である。

 自然史博物館の分野では日本ははるかに後進国であること。しかし、そうした施設の充実度が目に見えない国力につながっていること。最近の日本の基礎研究先細り―。

 一方で、防衛予算や経済成長につながりそうな(?)一見派手なものにはお金をかける。…と、岩佐さんは淡々と記しているのだが…。

 智慧がなく、無定見。そうした言葉しか見つからない。多様な文化や人類が歩んできた蓄積こそ、大事にするべきなのだ。

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by saiseidoh | 2016-12-21 08:03 | 歴史 | Comments(0)

「フランスの異邦人」

 第16回大佛次郎論壇賞に森千香子「排除と抵抗の郊外 フランス〈移民〉集住地域の形成と変容」(東京大学出版会)が選ばれた。

 差別への関心は林瑞枝「フランスの異邦人」(中公新書)を読んだことで生まれた、と書かれている。

フランスの異邦人―移民・難民・少数者の苦悩 (中公新書 (716))

林 瑞枝 / 中央公論社


排除と抵抗の郊外: フランス〈移民〉集住地域の形成と変容

森 千香子 / 東京大学出版会


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by saiseidoh | 2016-12-20 07:00 | ノンフィクション | Comments(0)

「琴はしずかに」

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 詩人・八木重吉の妻・吉野登美子が生前に書いた「琴はしずかに」(彌生書房、1976年初版)が売れた。

 後記には、本をまとめるにあたってお世話になった人として、故・田中清光の名前が出てきたり、冒頭の夫妻の写真、八木重吉の軍隊時代の写真など、とにかく懐かしさと心のやすらぎを覚える本だ。手放したくないのだが、仕方がない…。



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by saiseidoh | 2016-12-18 12:49 | | Comments(0)

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