彩生堂備忘録


店主:宮内義富、札幌在住。「本の力」「人の力」が必要な時代です。ものごとを、明治以降生まれた様々な思想や文学、社会学、医療や医学、性その他に関する学問・研究など、多面的な物差しで見ていくことの必要性も痛感します。
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佐伯泰英『惜櫟荘の四季』

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 昨日届いた「図書」2月号。毎月全体をパラパラと眺め、興味深そうな文章は短時間で読むことが多い。今回は連載が続く佐伯泰英『惜櫟荘の四季』22の文章に目が止まった。直木賞作家、佐藤正午さんの授賞式欠席の弁に関するくだりである。

 ほぼ同時期に集英社からかたや小説、かたやノンフィクションで、とデビューが重なったぐらいの関わり、と書く。しかし、佐藤さんは出席することで、生活リズムが崩れ、「今後の創作活動に支障をきたすことを恐れ」出なかった。佐伯さんはそのコメントを読み、己のスタイルや生き方に拘る作家魂(こうした表現は嫌いだが、と断りながら)に共感した、という。出版不況の中、30年以上も健筆を揮い、瑞々しい文体に磨きをかけている佐藤さんの生き方にただただ敬服している、と文章は続く。

 時代や職業は問わず、こうした姿勢は学びたいものだ。

                 ☆

 昨日20年近くもお会いしていなかった富田政義さん(青十字サマリア会理事長)を北広島市に訪ね、さまざまな話を聴かせていただいた。非常勤講師を務めている専門学校のテキストとして作った本を今度用意していただける、という。北海道における障害者の歴史に関するもの。楽しみだ。帰りがけにいつもの弘南堂書店に寄ったが、めぼしい本はなかった。


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by saiseidoh | 2018-01-31 08:30 | エッセイ | Comments(0)

求人情報誌

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 かつて「リクルートブック」というリクルート雑誌?があった。私も一時、掲載を決めた企業にお邪魔し、掲載記事を執筆するための取材を1年間ほど行った。

 今はネット時代で、Webでリクナビとか、マイナビとかがあるようだ。一方、フリーペーパーとして募集情報をぎっしり詰め込んだ情報誌も津々浦々にある。しかし、ネットもホームページその他で時間をかけて造り込めば質の高いものが出来上がるだろうが、そうした一部を除き、簡易な媒体ではその企業の理念や方針、思いがほとんど伝わらないのではないだろうか?特にフリーペーパー式の情報誌では軽はずみな、「簡単にできる」や、「短時間で超高給」など、ひと目を引く惹句が際立っている。厳しい労働なくして、高給などということがあり得るはずがない。

 ネットでも何でもいいのだが、かつてのリクルートブックのように建前でも企業理念を語る媒体が必要ではないだろうか。

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by saiseidoh | 2018-01-30 07:55 | その他 | Comments(0)

滝田ゆう「昭和×東京下町セレナーデ」

 昭和という時代に東京・下町で少年期を過ごしたせいか、滝田ゆうの作品は時折読みたくなる。もちろん、大正や戦前期のことはわからないが、私がその空気を知る昭和30年代は滝田ゆうが描く世界と全くと言ってよいほど、同じだ。


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by saiseidoh | 2018-01-28 07:47 | サブカルチャー | Comments(0)

横溝正史

横溝正史は不思議な作家で、ブックオフなどに文庫本が大量に並んでいるのに、意外に(購入への)反応がよく、ポツリポツリと売れていく。
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私の手元にも何冊あるのかわからないほど、たくさんある。

なぜこんなに人気があるのだろうか?大量に出回っている文庫本ではなく、あまり見かけない本のみにリクエストが多いのか。

横溝正史の作品自体はそれほど読まない。映画「八つ墓村」などで、その描く世界はなぜか興味深そうかな、と思う程度だ。

あるいは、江戸川乱歩などと似たところがあるが、大正から昭和初期頃のおどろおどろしいロマン主義、妖しい世界が広がっているからだろうか?その意味ではそこから汲み取るべき遺産は多いのかもしれない。

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by saiseidoh | 2018-01-27 20:58 | 文学・小説 | Comments(0)

中島みゆき「永遠の嘘をついてくれ」

 中島みゆきは凄い、と改めて思う。ほぼ同年齢、同時代を生きていることにも嬉しさ・感慨を感じる。このような歌い手は今後も出ないのではないだろうか。もちろん、歌い手にも個性があり、誰一人として比べられないのだが…。

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 最近は吉田拓郎と競演した「永遠の嘘をついてくれ」(2006年つま恋コンサート)を繰り返し聴いている。ここでの歌と映像は颯爽としていて、とても(人間として)かっこ良い。「霙の音」も最近繰り返し聴く。詩と楽曲が絶妙に合い、中島みゆきにしか表現できない世界、と思わせる。

 彼女が表現する音楽の世界は神がかっている。

 中島みゆきは道産子で、大学時代まで帯広や岩内、札幌で過ごしたことにも大変興味がある。どんな原風景が心の内には広がっているのだろうか。それだけに道内を舞台とした数々の歌の背景についても知りたく思う。


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by saiseidoh | 2018-01-25 10:04 | 音楽・オペラ | Comments(0)

葉室麟

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 亡くなられてから1ヶ月経ったが、葉室麟さんは思えばわずか一歳上、学年では二学年上の、ほぼ同世代だ。

 最近興味ある新刊本は多いが、なかなか購入するまでには至らない。そんな中、5年ほど前に購入した「銀漢の賦」(文春文庫)が書架の片隅にあった。改めて葉室さんの経歴を辿ると、かつて福岡市で発刊されていた日刊フクニチという夕刊紙の記者をやられていた時期もある。

 主に時代小説を作品として描いたが、どの時代にも共通する“詩心”が感じられる。代表作のひとつ「銀漢の賦」と一緒に寺山修司や谷川俊太郎の詩集を撮影してみた。


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by saiseidoh | 2018-01-23 09:26 | 文学・小説 | Comments(0)

光文社

 何となく愛着がある出版社、そうでない社…とそれぞれさまざまある。時間の経過や特定の出版物によって、その印象が変わることもある。

 そんな中、光文社はそれ程好きな出版社というわけではないが、時折読みたいと思わせる本が出ている。どんな出版社もさまざまな作家や書き手とつながっているのだから、それはどこの出版社でも企画やタイミング次第でベストセラーや愛好家から評価される本を刊行する機会はあるだろう。当たり前のことだろうが…。



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by saiseidoh | 2018-01-21 08:11 | 新刊 | Comments(0)

宮沢賢治

 芥川賞、直木賞が半年に一回決まるので、何だか慌ただしい感もあるが、様々な才能ある人たちが世の中にはたくさんいるものだ、といつも感心する。

 やはり話題性ではなく、作品として力のあるもの、唯一無二なものを選んでほしいが、そこはこちらの範疇ではないので置いておく。

 今回改めて思うのは、宮沢賢治など、過去の作家達の凄さである。若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」、門井慶慶「銀河鉄道の父」。二作品ともに、宮沢賢治なくしては存在しない作品だったろう。タイトル名の銀河鉄道も、「おらおらひとりでいぐも」すら宮沢賢治発、である。

銀河鉄道の父

門井慶喜/講談社

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 秋田の山奥が出生の地なので、東北出身の作家には子供の頃から憧れた。石川啄木、太宰治、宮沢賢治。最も憧れたのがやはり宮沢賢治で、生き方に思い惑った20歳前後には賢治ゆかりの地の花巻や小岩井農場などを訪ね歩いたし、賢治風の童話「晴天疾走」などという作品も仲間内の同人誌に書いた。

 やはり宮沢賢治は恥ずかしいながら憧れの人である。


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by saiseidoh | 2018-01-18 08:59 | 文学・小説 | Comments(0)

『あなたへ 往復書簡』赤坂憲雄・寺尾紗穂

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 物事にはいろいろな見方がある、ということは大切だと思う。それは過去に起きた事も同様で、一つの色に塗り込められた歴史というものがあってはならない。

 朝日新聞連載中の『あなたへ 往復書簡』。現在は赤坂憲雄氏、寺尾紗穂氏という異色の往復書簡だが、これを読むと、過去や歴史にもさまざまな営為や思想、生き方があったことを知ることができる。そして、そうした姿勢は、今にも未来にも引き継がれる必要がある。それこそが未来への、本当の遺産だろう。

 この往復書簡によって、寺尾紗穂「アジアの汗」という歌も初めて知ることができた。

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by saiseidoh | 2018-01-13 08:08 | 歴史 | Comments(0)

キネマ旬報ベストテン

 キネマ旬報ベストテンが発表された。日本映画が「夜空はいつでも最高密度の青色だ」(石井裕也監督)、外国映画 が「わたしは、ダニエル・ブレイク」(ケン・ローチ監督)。

 最近は新聞紙上やネットでの発表を知るだけだが、キネマ旬報の選考は毎年、「さすが」と思わせる。米国のアカデミー賞やエンターティメント系の作品とは一線を画し、映画を愛する人々の琴線に触れる、と言える選考にいつも頭が下がる。日本映画で2位となった大林宣彦監督の「花筐/HANAGATAMI」などにもそれは象徴的によく表れている。
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 このシーズンになると、時代は移り変わるが、映画に限って言えば、キネマ旬報という存在があってよかった、と毎年のように安堵・安心する。

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by saiseidoh | 2018-01-12 07:18 | 映画・映画の本 | Comments(0)

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